2013年11月25日月曜日

オバマ大統領のスピーチ

日野ゼミの皆さんはご存知かと思いますが、アメリカでは政治家がスピーチする時にジョークを言って聴衆を笑わすことが当たり前になっています。
これにはスピーチを楽しいものにするという目的だけでなく、マスコミや対抗勢力からの批判をうまくかわすという目的もあります。選挙の対抗馬などを批判する時にもストレートな言葉でただ批判するのではなく、少し遠回しの皮肉を言って批判します。ジョークだからって、一発ギャグをやってふざけているというわけではないのです。
アメリカではこうした「ジョーク力」が話術として評価されるのではないでしょうか。

そこで今回はオバマ大統領のスピーチの一部を紹介させていただきます。
2009年5月9日に行われたホワイトハウス記者団主催の夕食会で、オバマ氏は自分や自分の政府幹部を笑いのネタしたスピーチを披露しました。

《原文》
Which brings me to another thing that's changed in this new, warmer, fuzzier White House, and that's my relationship with Hillary. You know, we had been rivals during the campaign, but these days we could not be closer. In fact, the second she got back from Mexico she pulled into a hug and gave me a big kiss. Told me I'd better get down there myself. Which I really appreciated. I mean, it was -- it was nice.

《日本語訳》
この新しい、ほんわかと温かいホワイトハウスでもうひとつ変わった事と言えば、私とヒラリーの関係です。皆さんご存知のように私達は選挙戦中にはライバルでしたが、最近ではこれ以上ないくらい親しくなりました。彼女がメキシコへの2度目の訪問から帰ってきた時だって、私をぎゅっと抱き寄せて盛大なキスをしてくれた後、「あなたもまたメキシコへ行った方がいい」とも言いました。本当に嬉しかったです。…本当に。

《解説》
一見するとなんでもない内容ですよね。しかしこれを言った時期が問題なのです。2009年の3月末にヒラリー氏がメキシコを訪問し、4月半ばにはオバマ氏も訪問し、そして4月末になんとメキシコで新型インフルエンザの発生が確認されました。オバマ氏の訪問時に現地案内をしていた方が感染して亡くなったりして、ちょうど世間では「オバマ大統領も危ないのでは」と騒がれていた時期なのです。つまり、「ヒラリーが俺を感染させて殺そうとしてる!(全然仲良くなってない)」というジョークなのです。
これは対抗勢力への批判などではなく(もう同じ政権の仲間なので)、単に自分の政権をサカナにしたものですね。

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